秘密基地で妄想
不動様修行者が小生の農具小屋を「秘密基地」と名づけてくれた。言われてみれば、冬季間は雪ため道路からは見えず、隣の施設から回って雪道を歩いてこないと見えない。夏は道路から見えるが、かまぼこ形の耐雪型車庫のため知らない人はよってこない。昔のガキどもが遊びに来る隠れ場所である。
2間×3間の小屋は一応鉄骨造りで波鉄板で囲ってあるだけで、入口はシャッターのみ、すきま風が入ってきて、ストーブを焚いても室温は15℃までしか上がらない。窓がないので電気を2灯取り付け、シャッターを閉めても中は明るくできる。雪で閉ざされているため外の音は一切聞こえない。小屋の中には農機具を所狭しと置いてあるが、入口の狭いスペースにストーブを置き、その周りにもらった椅子を数個置いている。NHK第1しか聞けないラジオと悪ガキが持ってきた劇画の単行本がたくさんある。ストーブでお湯を沸かし、食事はインスタントラーメンを作りおにぎりと一緒に食べている。水はお不動様の手水舎に貰いに行き、トイレは社務所を利用している。コーヒー飲料とスポーツドリンクをスーパーから買い込み常備している。いつ持ち込んだかわからないが災害用の非常食も置いてある。寝泊りはできないが除雪作業の一服場所である。夏は桜の木の影で風通しがよく涼しい?冬は隙間だらけのため寒い。
ところで小生には「調理のできる薪ストーブを置き、ごろ寝ができるように畳を2枚ほど敷き、晴耕雨読の山小屋にしたい」という夢がある。もう一つ、竹之高地はテレビの地上波が見れないのでインターネット環境ができればと思う。パソコンを持ち込んで竹之高地だよりを書いて時間を忘れることができる。昼は竹之高地で畑を耕し野菜を作り、玉サバの成長を見て喜び、夜は自宅で母ちゃんとゆったりとした時間を過ごす。もう古希を迎える小生、社会に出て50年となる。これを契機に会社勤めを退いて、一日中竹之高地で遊んでいて良いだろうとこの頃つくづくと思う。
もう一つ、この小屋を利用して、春は山菜、夏秋は竹之高地で作った野菜を小屋の前に並べておけば、訪れた人たちがもらってくれるのではないかと思う。山菜は美味しく食する期間が思ったより短く、ふきのとう、コゴミ、山うど等は2週間程度で5月中旬に旬が終わる。野菜は山の雪が融ける5月中旬以降に種まきをするから、早い物でも7月下旬からの収穫となる。竹之高地で採れた山菜・野菜は一味違うと皆が言ってくれている。その言葉が竹之高地で働く者の励みとなっているのは事実である。
いずれも新鮮なものが良いから朝早くに収穫したものをその日のうちに食してもらいたいが、多く並べても残った物の処理にも困る。そもそも山菜も野菜もそんなに採れるものではない。無人販売で少量を安く提供し、土・日曜日のみの販売とすればそんなに負担にはならない。これならできそうだと思う。時には店番をして訪れた人とお話すれば、もしかしたらまた来てくれることになり、竹之高地がもっと広まると思う。今年の春から販売できるように山の仲間にも声をかけてみよう。
竹之高地の現住民は1人であり、元住人も年老いてこの山に通ってくる人が毎年1人2人と減っている。小生もあと何年竹之高地に来れるかと考える日々である。